一般講演 3
ドバト害防除に関する研究6
−多摩動物公園内に就塒するドバト群の繁殖−

昭和56年度日本鳥学会大会発表
(1981年6月6−8日、林業試験場)

久米宗男^＊（神奈川県県有林事務所）・杉森文夫（山階鳥研）

発表要旨

日本鳥学会誌「鳥」　Vol.30, No.2/3, p.106

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　演者らは，東京都多摩動物公園内のインドゾウ舎塔屋部に就塒するドバト群を対象に，1977年から就塒個体数・繁殖状況等について調査を行った． 今回は1979年末までの3年間の繁殖状況の調査結果を報告する．
　繁殖に参加していたドバトはほぼ一年を通してみられたが，就塒個体数に対する繁殖参加個体の占める割合は3−8月が特に高く，5割前後であった． 次に孵化卵数についてみると，放棄卵の割合はほぼ一定であったが，消失卵は3−6月に多く，孵化卵は7−12月に多かった． また，消失ひなは5−8月産卵のものに多く，死亡ひなは9−2月産卵のものに多かった（消失卵およびひなは捕食された可能性がある）． 全産卵数に対する孵化卵数の割合は53.2%，同じく巣立ひな数の割合は36.2%であった． これは東京の国電渋谷駅東口ガード下の例よりは高いが，他の地域よりやや低い．また就塒個体1羽当りの巣立ひな数は平均1.17羽/年であった．