一般講演 17
ドバト害防除に関する研究2
−東京多摩地区のドバトの生態的分布−
昭和53年度日本鳥学会大会発表
(1978年7月2日、新潟市新潟厚生年金会館)
岩崎紀子＊（東京農大）・久米宗男（東京農工大）・杉森文夫（山階鳥類研究所）
発表要旨
日本鳥学会誌「鳥」 Vol.27, No.2/3, p.76
種々の環境が入り組んでいる多摩地区で，1977年8月，ドバト（Columba livia var.）の分布調査を行った．
調査には1/2,500の地図を用い，1区画（500m×500m）を原則として約3km，1.5時間蛇行進歩し，観察したドバトを総て記録した．
その結果，観察総個体数は1,465羽（45.8羽/km2）で，個体数が集中している地域は主として市街地であった．
本調査地域の分布にIδ指数（Morisita, 1959）を適用したところ，Iδ−方形区面積曲線より，本種の分布は小集団を持つ集中分布型を示した．全個体数の43.3%が，わずか4ヵ所6区画（調査地域の1.2%）に集中していた．
これらの地区の密度は，169羽/km2であった．
これらの地区は立川駅周辺，多摩動物公園，富士見台団地，高幡不動であり，いずれも本種の生息に必要な食物の供給地を有し，塒になりうる場所をも備えていると考えられた．
