一般講演 16
ドバト害防除に関する研究1
−横浜市神奈川区のドバトの生態的分布−
昭和53年度日本鳥学会大会発表
(1978年7月2日、新潟市新潟厚生年金会館)
久米宗男＊（東京農工大）・杉森文夫（山階鳥類研究所）
発表要旨
日本鳥学会誌「鳥」 Vol.27, No.2/3, p.76
近年ドバト（Columba livia var.）の被害が問題となっているが，その基礎的調査として，1976年7月に横浜市神奈川区内で本種の分布調査を行った． その結果，延べ観察個体数は，5,448羽，密度は約192羽/km2であった．
生息環境と本種の分布状況を分析したところ，林地や開放性緑地（見通しのよい緑地）が大半を占めている地域では本種の出現が少なく，工業地域及びそれに隣接する市街地周辺で本種の個体数の集中がみられた．
この工場地域内には，本種の食物を供給していると考えられる飼料工場，穀物倉庫等が存在していた． さらに工場地域及びその周辺に多い高速道路・陸橋（歩道橋を含む）・ビルディング等は，本種のねぐら，繁殖の場として好適な環境を形成していた．
