兵庫県西宮市の北山貯水池で、シジュウカラガン(大型の亜種カナダガン)の雑種らしい鳥が観察されたとの情報が寄せられたので、10月29日（日）午前に現地に行き、調べてきました。

＊ 他の観察記録

１．北山貯水池の雑種カナダガン

2006年10月29日（土）午前

• 　北山貯水池は市内南部丘陵地域の開発に対応するため、仁川を取水源として昭和43年5月に完成しました。有効貯水量は約116万m³、北山・越水両浄水場に送水しています。 　秀麗な甲山の山容を湖面にうつし、湖岸の道路は甲山森林公園、北山緑化植物園、名刹甲山神呪寺、鷲林寺に通じ、散策・ハイキングに最適です。周辺に植樹した梅や桜も年々美しさを増して、さらに遠く大阪湾を望む素晴らしい景観が四季を通じて楽しめます。
  
  下の写真の説明板より

  兵庫県西宮市北部にある北山貯水池

  
  

• 　寄せられた情報通り、北山貯水池の水面に雑種と思われるカナダガン1羽の姿を見つけました。

  　当日勤務されていた警備職員の方にお聞きしたところ、
  「北山貯水池には6年前から勤務しているが、既にその頃には、この鳥が1羽でいた。
  　職場の人から聞いた話では、以前は2羽いたらしいが、交通事故で1羽が死んだらしい。」
  とのことでした。

  北山貯水池で観察された雑種ガン

  
  

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  動画1   採食 （QuickTime Movie 形式）	動画2   鳴き声 （QuickTime Movie 形式）

  
  
  

２．他地域の雑種カナダガン

• 茨城県で観察された「カナダガン雄×ガチョウ雌の雑種」
  • 東茨城郡美野里町池花池
    
  • 上記個体の追跡記録（我孫子市鳥の博物館のページより）

  • 牛久沼1（荒尾稔さんのページより）
    
  • 牛久沼2（我孫子市鳥の博物館のページより）
    
  • 牛久沼3（我孫子市鳥の博物館のページより）

  
  
  
• 某動物園で生まれた「カナダガン雌×シナガチョウ雄の雑種」
  
  資料提供：呉地さん

  1976年、某動物園で飼育していたカナダガン雌とシナガチョウ雄との間に生まれた雑種ガン
        *当時飼育していたカナダガン2羽のうち雄は、雑種誕生時には既に逃走とのこと。

  カナダガン雌×シナガチョウ雄の雑種（1980年3月撮影）

  雌親のカナダガン（右）と、シナガチョウとの雑種2羽

  雑種ガン1

  雑種ガン2

３．呉地さんのコメント

　実は、1976年に某動物園で、カナダガン(Branta canadensis)とシナガチョウの間に雑種が生まれ、そのうち2羽が生き残りました（上記写真参照）が、この雑種と北山貯水池のガンが大変良く似ています。
　また、2001年に茨城県・牛久沼でカナダガン(B. c.) と白いガチョウ（ハイイロガンを原種とするセイヨウガチョウ？未確認）との間に生まれた3羽の雑種ガンは、2羽は体全体が白いガチョウタイプですが、1羽は頬の白斑が煤けているカナダガンタイプでした（上記、牛久沼2・3のページ参照）。

　これらから考えて、北山貯水池のガンの片方の親はカナダガン(B. c.) で、もう一方の親は、サカツラガン（またはシナガチョウ）の可能性が高いように思います（断定はできませんが）。

　なお、北山貯水池での雑種ガンの過去の観察記録をWeb上で検索すると、一番古いものは2000年9月のようですが（兵庫県での観察記録参照）、これと今回の雑種ガンの顔の模様は大変類似しているので、おそらく同じ個体だと思います。

付記１

　そこで、当日勤務されていた警備職員の方にお聞きしたところ、
「昨年（2011年）12月頃、ダム管理所事務所向かい側のタンク近くのマツの根元に、首がなく内蔵が食われた状態で死体が見つかった。」
とのことでした。

付記２

カナダガン1羽と雑種2羽か？

雑種ガン